一枚の敷物を置くだけで、その場に凛とした雰囲気とくつろぎの表情が生まれる。
それが鍋島緞通。江戸時代より鍋島藩御用品の敷物として、三百年織り継がれてきた工芸品だ。
 鍋島緞通は木綿糸を使う。そのやわらかくナチュラルな触り心地は、手よりも素足の
方がよく分かる。そして、使い込むほどに風合いが出てくることこそ、手織りの魅力だ。
当たり前のことを付け加えると、“手織りだから不揃い”は許されない。まるめた緞通
を広げたとき、縁が波打たずにきれいに広がることも、良い手織りの条件。それは裏返
しても整然とした目が美しい。
「美織」の緞通は、まさにその条件を揃えている。
かつて12、3軒はあった織り元も、平成の今は2、3軒を残すのみ。
その貴重な1軒「美織」では、どんな人たちが織っているのだろうか。
トントントン…、トントン。織機の音(?)が聞こえてくる、
工房の扉を開けてみよう。
「手織りの良し悪しは裏返すと分かる」と
吉島政之輔社長。