日本最古の綿緞通 ― 鍋島緞通 ―

鍋島緞通の魅力の一つは、美しい文様にあります。
江戸時代に製作され、現存するもので圧倒的に多い図柄は、【蟹牡丹】。
その他、古典柄で【牡丹唐草】、【花杏葉文】、【蔓牡丹唐草】などが多く、これらの
文様は単に装飾的な 意図から派生したのではなく、何かその時代の生活様式を
伺い知ることが出来るようです。特に牡丹の花は、富貴な花として珍重され、武家社
会では家の格式を表すものとして調度品などに牡丹の文様を施したものが多く見ら
れます。江戸時代に於ける献上品として鍋島緞通の文様は、 このような象徴的図案
の意図から使用されたものと思われます。これらの文様を美術工芸品の形式上から
見ると、世界中の伝統的図柄のほとんどが対象柄で、敷物の中心から外に向かって
柄が展開されています。鍋島緞通は、全く非の打ち所のない大胆な構図と、日本古
来の色調で上品さを醸し出しています。

お客様より、「家を新築して、お玄関に目を惹くものを置きたいな、とずいぶん探しま
わったところ、 鍋島緞通に出会いました。手仕事ならではのぬくもりと、気品さを大変
気に入っております。」と いうお声を戴きました。綿素材ですので、冬は暖かく、
夏はひんやりと。肌に優しく、季節ごとに心地よさを体感できます。
皆様に、鍋島緞通の魅力をみつけていただければと願っています。
【蟹牡丹】